海外の国王や首相・大統領などの国賓をお迎えして、おもてなしする迎賓館。秋篠宮邸や上皇ご夫妻が住む予定の仙洞御所(旧東宮御所)などがある、赤坂御用地内にあります。
皇居から3㎞ほど離れたこの広大な緑地に、まるでヨーロッパのような宮殿が建っています。外観に違わず中もフランス様式がちりばめられているこの本館とは別に、奥には和風の限りを尽くした別館もあります。
記憶に新しい人ではドナルド・トランプ米大統領(当時)も、この迎賓館を訪れています。
2016年から通年一般公開が始まり、そんな国賓たちが訪れた当時の写真を見ながら、同じ場所に立つことができるようになりました。いろんな歴史が刻まれた場所で、その歴史がとても身近に感じられ、訪れてみて損はありません。
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迎賓館の概要
迎賓館赤坂離宮のある赤坂御用地は、江戸時代には紀州徳川家の中屋敷でした。明治になると皇室に献上され、一時は昭和天皇や現在の上皇陛下(平成天皇)も住んでいたそうです。
昭和の中頃、その建物を取り壊して5階建てのビルの迎賓館をつくる案もでたそうですが、せっかく立派な建物を取り壊してはもったいないと、昭和49年に大改修をして海外からの賓客をお迎えする迎賓館に生まれ変わらせたそうです。
それと同時に、せっかくの海外のお客様に日本的なところを見せたいとの思いから、和風別館も建てられたそうです。
迎賓館の見どころ
迎賓館は、洋風本館、和風別館、庭園から成ります。どこを見学するかによって、料金も予約要否も変わってきますので、事前にどこを見学するか、しっかり予定を立てておきましょう。
迎賓館の見どころをご紹介します。
洋風本館
明治時代に建てられ、天皇陛下がお住まいだったことがあるメインの建物です。昭和天皇は新婚当時5年間、上皇(平成天皇)は戦争が終わり疎開先から帰って来た7ヶ月間住んでいたそうです。
昭和49年に迎賓館として改装され、現在は海外からの賓客をお迎えする場所になっています。
『○○の間』という名のついた豪華な大広間がいくつもあり、そこで様々な国賓を迎えてセレモニーや食事会などが催されています。
どの部屋も豪華で、もはや庶民には使い分けがわかりませんが、セレモニー等の時の写真がいくつも展示されており、同じ背景を見つけては、ここにあの人が!と感激します。
和風別館
せっかく海外からきたお客様に日本らしさを堪能してもらおうと建てられた和風別館。事前予約が必要で、少人数のガイドツアーで見学します。
このガイドツアーが素晴らしく、迎賓館に行くならこの和風別館は欠かせません!本館と庭園だけのプランもありますが、ぜひ和風別館も入れましょう。
まずは、トランプ大統領が安倍首相と並んで歩いた日本庭園の小道を歩きながら別館に向かいます。
別館の脇には大きな池があり、きれいなコイが泳いでいます。このコイ、建築当時はいなかったそうですが、コイが大好きなことで有名なあの首相の一言で、今では錦鯉が100匹以上の泳ぐ池に様変わりしたそうです。
「池にコイがいないのは寂しいなぁ」と呟いた、田中角栄の痕跡をみることができます。
裏口から中に入ると、正面玄関から入ってきた賓客が最初に目にする坪庭を観賞します。何十本の竹がすっと生えていて、白い砂利に大きな黒い石が3つ置かれている坪庭。ここにも、昭和の大宰相の痕跡が残されています。
建築当時は、緑の竹と白い砂利のコントラストを楽しむ庭だったそうですが、「坪庭が白い砂利だけでは寂しいなぁ」と呟いたのは、中曽根首相。今では、大きな黒い岩がバランスよく配置されています。
坪庭を通り建物内に入ると、メインの大広間や、天ぷらやお寿司を堪能するための即席料理室、お茶室等があります。
お茶室は、47年間でたったの33回しか使われていないそうです。もったいない!
本館・別館いずれも、賓客のおもてなしをしている時の写真が飾られてとても興味深いです。少し残念なのは、そのほとんどが安倍首相!長かったので当然かもしれませんが、そこに「田中角栄-ニクソン」とか、「中曽根康弘-レーガン」とか、そんな写真も展示されたいて欲しかった!
庭園
本館の裏側に広がる庭園(主庭)には、大きな噴水があります。これ、噴水としてはめずらしく国宝に指定されているそうです。
その周りには、草木がきれいに生えており、いつ来賓があってもよいように四季折々の花が植えられています。
噴水の周りの草木の中には、エリザベス英国女王が植樹したイングリッシュ・オーク、フォード米国大統領が植樹したハナミズキなどもあります。
エリザベス女王が植樹した木は、ウィンザー城の庭に生えていた木を空輸したものだそうです。予備のためにもう1本空輸した木は、在日イギリス大使館に生えているそうです。
見学の方法
迎賓館の見学は、次の4つのプランがあります。
○庭園のみ:300円(大学生以下無料)
○庭園+本館:1500円(大学生1000円、中高生500円、小学生以下無料)
○庭園+別館:1500円(大学生1000円、中高生500円)
○庭園+本館+別館:2000円(大学生1500円、中高生700円)
庭園と本館は予約なしで見学できますが、和風別館は事前予約が必要です。
和風別館は毎日10:30~15:00まで、30分おきにガイドツアーが用意されています。土日祝日は、特にすぐに埋まってしまうので、早めに予約しましょう。
予約受付開始時期は明確にされていませんが、1~2ヶ月前くらいから始まることが多そうです。
どのプランか迷ったら、全て入ったプランがオススメです。特に和風別館は、欠かせません!
荷物の持ち込み、コインロッカー
迎賓館を見学する際は、大きな荷物は預けなければなりませんが、敷地内には無料のコインロッカーが用意されています。サイズも、大中小のコインロッカーがあります。
スーツケースのような大きな荷物は入りませんが、その場合は、受付で預かってくれるので心配いりません。事前に駅などでお金を払って預けなくてOKです。
ただ、迎賓館は各国の要人が訪れる場所ですので、セキュリティチェックは厳重です。敷地内に入る前に手荷物検査があり、荷物は全てエックス線を通します。
スーツケースの中に、何か引っ掛かるものが入っていた場合、その場で開けてみなければならないので、大きな荷物は持っていかないに越したことはありません。特に、液体の持ち込みは可能だけどもチェックは厳しいので要注意です。
迎賓館ランチ
迎賓館はフルセットで見学すると半日弱かかるので、その前後にランチを予定する方が多いのではないでしょうか。そのようなときは、迎賓館ランチがオススメです。
迎賓館ランチと一言で言っても、見学者しか入れない前庭ランチ、一般の人が入れる外庭や迎賓館休憩所ランチがあります。
迎賓館前庭ランチ
迎賓館の前庭には、椅子とテーブルが設置されており、迎賓館本館を愛でながらフードトラックで買ったものやアフタヌーンティーが楽しめます。
アフタヌーンティーは3000円といいお値段ですが、迎賓館らしく特別な記念になりそうです。
他のフードトラックは、数百円のものから売ってるので、お手頃にも楽しむことができます。
屋外なので、春や秋の晴れた日にオススメ。
迎賓館外庭(若葉東公園)ランチ
迎賓館の敷地内には入らず、正門の前に広がる芝生の公園にも、ベンチがたくさん設置されているので、迎賓館を眺めながら持ちよりのランチが楽しめます。
地下の休憩所にあるカフェで、テイクアウトも可能。
こちらも屋外なので、春や秋の晴れた日にオススメ。
カーブドッチ迎賓館ランチ
迎賓館正門の前の公園の地下は、迎賓館無料休憩所となっており、そこにはカーブドッチ迎賓館というカフェが入っています。1000円前後でお手頃なプレートランチができます。テラス席もあります。
雨の日や、ちゃんとした食事をとりたい方にオススメ。
カフェの隅には、迎賓館のマークの入ったお菓子などが売っているお土産屋さんや、迎賓館の説明や写真が展示されている小さなコーナーがあります。迎賓館の建物内にもこのような写真が展示されていますが、写真撮影禁止なので、ここの写真は撮影できる貴重な場所。
迎賓館赤坂離宮の基本情報
開館時間: | 10:00~17:30(入館は17:00まで) |
所要時間: | 2~3時間程度 |
入館料: | 『見学の方法』に記載 |
休館日: | 水曜日又は接遇等の日 |
所在地: | 〒107-0051 東京都港区元赤坂2-1-1 |
公共交通機関: | JR総武線 四ッ谷駅 徒歩7分、東京メトロ丸ノ内線・南北線四ッ谷駅 徒歩7分 |
公式HP: | 迎賓館赤坂離宮 |
(2022/4現在)