2000年
2000年に行われた米国大統領選は、アメリカ史上類を見ない大接戦でした。当時クリントン政権における副大統領アル・ゴア(民主党)と、テキサス州知事ジョージ・W・ブッシュ(共和党)の戦いでした。フロリダ州を制するものが選挙を制するという状況の中、フロリダ州における両者の得票数が僅差であったことから36日間の再集計と法廷論争が行われた結果、第43代大統領にブッシュが選出されました。
ジョージ・W・ブッシュ大統領博物館の展示物、解説をまとめました。
米大統領選挙の仕組み
米国大統領選挙では、各州に割り当てられている選挙人を立候補者が州ごとに獲得していき、270人以上の選挙人を獲得した立候補者が次期大統領に選出されます。 選挙人総数537人(2000年当時)が、議会の議席数に応じて各州に割り振られており、州ごとに一番多く得票した立候補者が、その州の選挙人を総取りしていきます。
そのため、選挙人が多い州で勝利することが重要となってくるわけです。
大統領選挙において重要な州
「50州+ワシントンDC」の51地区で537人が割り振られているため、少ない州では3-4人、多い州では一気に何十人の選挙人を獲得できることとなります。そのため、選挙戦ではとくに選挙人が20人を超える次の州で勝利できるかどうかがとても重要なってきます。
カリフォルニア州:54人
ニューヨーク州:33人
テキサス州:32人
フロリダ州:25人
ペンシルベニア州:23人
イリノイ州:22人
オハイオ州:21人
大統領選挙の史上まれにみる記録
選挙日当日に当選確実が出ない
1960年ケネディとニクソンの大統領選挙戦の写真@ニクソン大統領博物館
JFKが制した1960年のジョン・F・ケネディ(民主党)とリチャードニクソン(共和党)の選挙戦は、翌日の朝になっても結果が出ない大接戦でありました。
2000年のブッシュvsゴアの大統領選挙は、1960年以来初の選挙当日に結果が出ない選挙戦となりました。
一番多く得票した候補者が当選しない
アメリカの大統領選は、勝利した州における選挙人総取り方式により、一番多く得票した候補者が当選しない事態が起こりえます。2000年の選挙戦は、1888年以来の112年ぶりに最多得票の候補者が当選しない結果となりました。
そしてそのたった16年後、記憶に新しいドナルド・トランプ(共和党)とヒラリー・クリントン(民主党)の戦いで、再びこの現象が起き、選挙制度のあり方を問う声が大きくなりました。
ブッシュ vs ゴア事件の概要
2000年に行われた次期大統領選挙は、近代アメリカ史上類を見ない大接戦でした。 当時クリントン政権において副大統領であったアル・ゴア(民主党)と、テキサス州知事であったジョージWブッシュ(共和党)の戦いでした。
フロリダ州の得票数が僅差であったこと、その勝敗が直接選挙結果を左右してしまうことから、36日間かけて票の再集計と法廷争いが行われました。
その結果、フロリダ州でのブッシュ勝利が最終結論となり、第43代大統領にジョージWブッシュが選出されました。
2000年の大統領選挙の結果
2000年11月7日に行われた大統領選挙の結果が、下のマップに示されています。フロリダ州を除いた選挙人の獲得数はゴア266人、ブッシュ246人。フロリダ州の25人を獲得した方が次期大統領に選出される結果となっていました。
2000年大統領選時の、ゴア(青)とブッシュ(赤)の選挙人獲得状況
フロリダ州の票の再集計
勝敗を決定づけるフロリダ州の選挙結果は、たったの1784票差でブッシュがリードしていました。これはフロリダ州全体の投票数の0.5%未満の僅差でした。
フロリダ州は、得票数が僅差の場合は再集計を行うことが州法で決められています。そこで、機械による票の再集計が行われました。再集計の結果、ブッシュのリードはわずか300票とますます差が縮まる結果となりました。
一方で、ゴアはフロリダ州内でも民主党色の強い4地域において、手作業による再集計も行うように要求しました。しかしこちらの結果は、海外居住者の不在者投票も合わせると、ブッシュのリードが930票に広がっていきました。
拡大鏡で念入りにチェックする再集計の様子
フロリダ最高裁は当初、再集計の期限を11月26日と定めており、その日、フロリダ州はブッシュの勝利を発表しました。
ところが、疑問票が多い状況を知るゴア候補は、フロリダ州全域で手作業による再集計を行うよう、米国の最高裁判所に上訴します。それを受け最高裁は、フロリダ州に州全域での再集計を命令しました。
その一方で、憲法で定められた期限内に再集計を終わらせることも指示しました。
期限である12月12日、再集計は作業途中のままでした。しかし、最高裁の命令通り再集計は終了し、その時点で得票数を多く得ていたブッシュ候補の当選が確定しました。
- 11月9日、フロリダ州法に則り、機械による再集計が開始。
- 11月14日、フロリダ州はブッシュ候補が300票リードとの発表。
- 11月26日、フロリダ州務長官はフロリダ州でのブッシュ勝利を発表。
- 12月8日、ゴア候補の上訴を受けた米国最高裁は、フロリダ州に対し、フロリダのすべての地域において手作業の再集計を行うことを命令。
- 12月12日、最高裁は7対2で、フロリダ州の再集計の基準が統一されていないために一貫性を持った最低限のプロセスになっていないと判断。それと同時に、5対4で、フロリダ州最高裁は法律に従い憲法で定められた期限までに最終結論を出さなければならないと判断。⇒再集計の停止。
- 12月12日、フロリダ州の勝者と次期大統領がブッシュと確定。
- 12月13日、ゴアはブッシュに敗北宣言をして、36日間の戦いが閉幕。
ブッシュ陣営
長引く票の再集計の結果、ブッシュ次期大統領には、38日の準備期間しか残されていませんでした。 その間に、閣僚、幹部の人事を決め、1月20日に就任式を迎えました。
ブッシュ陣営
そして、この政権が8か月後に起こる同時多発テロをきっかけに、アメリカを戦争の歴史へと引き戻していくこととなります。
アメリカ史上最大の大統領スキャンダル:ウォーターゲート事件
トランプ大統領の不正疑惑!?
ブッシュvsゴア事件が分かる観光地
https://yadakotour.work/history/bushvgore/https://i0.wp.com/yadakotour.work/wp-content/uploads/2019/06/DSC_4972_1.jpg?fit=900%2C561&ssl=1https://i0.wp.com/yadakotour.work/wp-content/uploads/2019/06/DSC_4972_1.jpg?resize=150%2C150&ssl=1やだこアメリカの歴史2000年
2000年に行われた米国大統領選は、アメリカ史上類を見ない大接戦でした。当時クリントン政権における副大統領アル・ゴア(民主党)と、テキサス州知事ジョージ・W・ブッシュ(共和党)の戦いでした。フロリダ州を制するものが選挙を制するという状況の中、フロリダ州における両者の得票数が僅差であったことから36日間の再集計と法廷論争が行われた結果、第43代大統領にブッシュが選出されました。
ジョージ・W・ブッシュ大統領博物館の展示物、解説をまとめました。
米大統領選挙の仕組み
米国大統領選挙では、各州に割り当てられている選挙人を立候補者が州ごとに獲得していき、270人以上の選挙人を獲得した立候補者が次期大統領に選出されます。 選挙人総数537人(2000年当時)が、議会の議席数に応じて各州に割り振られており、州ごとに一番多く得票した立候補者が、その州の選挙人を総取りしていきます。
そのため、選挙人が多い州で勝利することが重要となってくるわけです。
大統領選挙において重要な州
「50州+ワシントンDC」の51地区で537人が割り振られているため、少ない州では3-4人、多い州では一気に何十人の選挙人を獲得できることとなります。そのため、選挙戦ではとくに選挙人が20人を超える次の州で勝利できるかどうかがとても重要なってきます。
カリフォルニア州:54人ニューヨーク州:33人テキサス州:32人フロリダ州:25人ペンシルベニア州:23人イリノイ州:22人オハイオ州:21人
大統領選挙の史上まれにみる記録
選挙日当日に当選確実が出ない
1960年ケネディとニクソンの大統領選挙戦の写真@ニクソン大統領博物館
JFKが制した1960年のジョン・F・ケネディ(民主党)とリチャードニクソン(共和党)の選挙戦は、翌日の朝になっても結果が出ない大接戦でありました。
2000年のブッシュvsゴアの大統領選挙は、1960年以来初の選挙当日に結果が出ない選挙戦となりました。
一番多く得票した候補者が当選しない
アメリカの大統領選は、勝利した州における選挙人総取り方式により、一番多く得票した候補者が当選しない事態が起こりえます。2000年の選挙戦は、1888年以来の112年ぶりに最多得票の候補者が当選しない結果となりました。
そしてそのたった16年後、記憶に新しいドナルド・トランプ(共和党)とヒラリー・クリントン(民主党)の戦いで、再びこの現象が起き、選挙制度のあり方を問う声が大きくなりました。
ブッシュ vs ゴア事件の概要
2000年に行われた次期大統領選挙は、近代アメリカ史上類を見ない大接戦でした。 当時クリントン政権において副大統領であったアル・ゴア(民主党)と、テキサス州知事であったジョージWブッシュ(共和党)の戦いでした。
フロリダ州の得票数が僅差であったこと、その勝敗が直接選挙結果を左右してしまうことから、36日間かけて票の再集計と法廷争いが行われました。
その結果、フロリダ州でのブッシュ勝利が最終結論となり、第43代大統領にジョージWブッシュが選出されました。
2000年の大統領選挙の結果
2000年11月7日に行われた大統領選挙の結果が、下のマップに示されています。フロリダ州を除いた選挙人の獲得数はゴア266人、ブッシュ246人。フロリダ州の25人を獲得した方が次期大統領に選出される結果となっていました。
2000年大統領選時の、ゴア(青)とブッシュ(赤)の選挙人獲得状況
フロリダ州の票の再集計
勝敗を決定づけるフロリダ州の選挙結果は、たったの1784票差でブッシュがリードしていました。これはフロリダ州全体の投票数の0.5%未満の僅差でした。
フロリダ州は、得票数が僅差の場合は再集計を行うことが州法で決められています。そこで、機械による票の再集計が行われました。再集計の結果、ブッシュのリードはわずか300票とますます差が縮まる結果となりました。
一方で、ゴアはフロリダ州内でも民主党色の強い4地域において、手作業による再集計も行うように要求しました。しかしこちらの結果は、海外居住者の不在者投票も合わせると、ブッシュのリードが930票に広がっていきました。
拡大鏡で念入りにチェックする再集計の様子
フロリダ最高裁は当初、再集計の期限を11月26日と定めており、その日、フロリダ州はブッシュの勝利を発表しました。
ところが、疑問票が多い状況を知るゴア候補は、フロリダ州全域で手作業による再集計を行うよう、米国の最高裁判所に上訴します。それを受け最高裁は、フロリダ州に州全域での再集計を命令しました。
その一方で、憲法で定められた期限内に再集計を終わらせることも指示しました。
期限である12月12日、再集計は作業途中のままでした。しかし、最高裁の命令通り再集計は終了し、その時点で得票数を多く得ていたブッシュ候補の当選が確定しました。
11月9日、フロリダ州法に則り、機械による再集計が開始。
11月14日、フロリダ州はブッシュ候補が300票リードとの発表。
11月26日、フロリダ州務長官はフロリダ州でのブッシュ勝利を発表。
12月8日、ゴア候補の上訴を受けた米国最高裁は、フロリダ州に対し、フロリダのすべての地域において手作業の再集計を行うことを命令。
12月12日、最高裁は7対2で、フロリダ州の再集計の基準が統一されていないために一貫性を持った最低限のプロセスになっていないと判断。それと同時に、5対4で、フロリダ州最高裁は法律に従い憲法で定められた期限までに最終結論を出さなければならないと判断。⇒再集計の停止。
12月12日、フロリダ州の勝者と次期大統領がブッシュと確定。
12月13日、ゴアはブッシュに敗北宣言をして、36日間の戦いが閉幕。
ブッシュ陣営
長引く票の再集計の結果、ブッシュ次期大統領には、38日の準備期間しか残されていませんでした。 その間に、閣僚、幹部の人事を決め、1月20日に就任式を迎えました。
ブッシュ陣営
そして、この政権が8か月後に起こる同時多発テロをきっかけに、アメリカを戦争の歴史へと引き戻していくこととなります。
アメリカ史上最大の大統領スキャンダル:ウォーターゲート事件
トランプ大統領の不正疑惑!?
ブッシュvsゴア事件が分かる観光地やだこ
55yam.adako@gmail.comAdministratorやだ旅
コメントを残す