キング牧師暗殺現場:国立公民権博物館(ナショナルシビルライツミュージアム/ロレインモーテル)の見どころ、行き方紹介(National Civil Rights Museum at Lorrain Motel)
オススメ度:★★★★★
キング牧師が暗殺された場所が当時の様子そのままに残っており、歴史的な場面に立てる貴重な場所。 公民権運動に関する博物館は、とても興味深い展示がわかりやすくまとまっている。
Contents
公民権運動博物館(ロレイン・モーテル)の観光基本情報
開館時間: | 9:00am – 6:00pm ※2019年閉館時刻変更 |
定休日: | 火曜日、1/1、イースター(4月)、感謝祭(11月)、12/24、12/25 |
入場料: | 大人$16 |
所要時間: | 半日程度 |
住所: | 450 Mulberry Street Memphis, TN 38103 |
公式HP: | 公民権運動博物館(ロレイン・モーテル)(National Civil Rights Museum at Lorrain Motel) |
(2019/8現在)
公民権運動博物館(ロレイン・モーテル)の概要
ロレイン・モーテルとは、キング牧師がメンフィス滞在中にいつも利用していたモーテルであり、キング牧師が暗殺された場所です。当時は、黒人が泊まることのできるごく限られたモーテルの一つでした。
現在は、ロレイン・モーテル(キング牧師が宿泊し、暗殺された場所)の建物と、道路を挟んで向かいのレガシービルディング(キング牧師暗殺の犯人が潜み、発砲した場所)の両方が博物館になっており、公民権運動全般やキング牧師暗殺事件に関する展示がとても充実しています。チケットは共通です。
公民権運動博物館(ロレイン・モーテル)の見どころ
キング牧師が宿泊して暗殺された場所であるロレイン・モーテルの建物と、犯人が宿泊して発砲した場所であるレガシービルディングの2つの建物から構成されています。
初めに、ロレイン・モーテルの建物で公民権運動に関する展示を見た後、最後にキング牧師の使っていた部屋、凶弾に倒れた場所を間近で見学します。
その後レガシービルディングに移動し、キング牧師暗殺事件に関する展示や、暗殺犯であるジェームズアーレイが潜んで発砲した部屋の再現などを見学します。
最後に、凶器の拳銃が発見されたお土産屋さんに寄ることも忘れずに!
それぞれの見どころを紹介します。
公民権運動に関する博物館(ロレイン・モーテルの建物内)
ロレイン・モーテルは、1925年のホテル創業当時は白人専用だったものの、第二次世界大戦終わり以降、黒人のジャズミュージシャンたち(ナットキングコールなど)の所有と移り変わった歴史があり、黒人にとって重要な施設としてキング牧師も好んで泊まっていたようです。
現在、ロレイン・モーテルの建物内の博物館では、黒人奴隷が地獄のような環境で海を渡って連れてこられた歴史から始まり、ローザ・パークスがきっかけで起きたバスボイコット事件、シット・イン、フリーダムライダーなど、1950年代から60年代にかけて起きた公民権運動を中心に順を追ってじっくり説明しています。
ローザ・パークス事件(バスボイコット事件)
公民権運動が始まるきっかけとなったのが、1955年に起きたローザ・パークス事件です。
当時のアメリカは、あらゆるものが白人用と有色人種用で差別されており、バスの座席ももちろん区切られていました。前方は白人専用、白人専用席が満席の場合は、後方に座っている黒人が席を譲らなければならないという、人種差別法がありました。
ある日、一人の黒人女性が満員バスに座っていると、白人が乗ってきました。運転手がその女性に座席を譲るように命令しますが、彼女は拒否しました。たったそれだけのことで、その女性は逮捕されたのです。この女性が、ローザ・パークスです。
この博物館ではそのバスが再現されており、当時の人種差別を体験!?することができます。
ローザ・パークス事件の再現バス
バスに乗り込むと、前方の席にローザ・パークスが座っています。
バスに座っているローザ・パークス
その近くに座ってみると、このバスの運転手に怒られます。
バスの中で待ち構えている運転手
ローザパークス事件(バスボイコット事件)の詳細については、こちらの記事で紹介しています。
フリーダムライダー
1955年のローザ・パークス事件を皮切りに各地で始まった公民権運動の甲斐あり、1960年、最高裁判所は一つの重大な判決を下します。
“バスターミナル、トイレ、待合室等々、バスの施設において黒人と白人を分けることは違憲である“。
これで晴れて黒人と白人は同じ待合室でバスを待ち、同じトイレを使い、隣同士でバスに乗ることができるようになったわけですが、本当に差別は解消されているのかどうか。
13人の黒人と白人のグループがワシントンDCから、人種差別意識の根強い南部へ向かう長距離バスに乗り実験しました。
グレイハウンドバスの旅程
1961年5月4日、ワシントンDCからニューオーリンズ行きのグレイハウンドバスに乗りました。旅程は13日間。
道中、大小さまざまな事件やニュースはあったものの、2台のバスは人種差別の最も激しい州のひとつアラバマ州までたどり着きました。
5月14日、アラバマ州のアニストンで、1台目のバスが200人ほどの集団に襲われ、爆破されました。
爆破されたグレイハウンドバス
その時の再現バスが、展示されています。
爆破されたグレイハウンドバス
2台目のバスは次のバス停であるアラバマ州バーミンガムまで行き、そこで激しい暴行に遭いました。
バーミンガムでの暴行事件
法的には人種差別が違憲と認められたものの、人々の意識は全く変わらず、根強い人種差別が続いていたのでした。そしてこの後も、キング牧師を始めとした黒人たちの、人種差別との戦いが続いていきます。
キング牧師の部屋(306号室)(ロレイン・モーテルの建物内)
1968年4月4日、キング牧師はこのロレインモーテルの306号室の前で、凶弾に倒れました。その場所がロレイン・モーテル側の博物館のしめくくりです。
直前までキング牧師が仲間と一緒に過ごしていた306号室は、当時の状態が再現され、飲みかけのコーヒーカップ、牛乳、たばこの吸い殻などがたくさんあり、仲間たちと議論に花を咲かせていたことが窺えます。
当時を再現したロレイン・モーテルの306号室
外の方を向くとガラス張りになっており、キング牧師が最後に部屋を出たときに見たであろう景色を、ほぼ同じ場所から見ることができます。
キング牧師が血を流して倒れていたその場所が、ガラス越しにすぐ目の前に現れ、あまりに歴史を身近に感じることができる貴重な場所になっています。
キング牧師が撃たれて倒れたバルコニー
キング牧師は、柵にかかっている環っかの前あたりで撃たれ、上の写真の手前側に倒れました。キング牧師が血を流してここに倒れている当時の写真も、博物館に展示されています。
キング牧師暗殺事件の詳細については、こちらの記事で紹介しています。
ロレイン・モーテルの外観と駐車場
4月4日6:01、キング牧師はその夜地元の仲間宅に食事に呼ばれており、襲撃時はその食事に出かけるところでした。
駐車場には迎えに来た地元仲間の車が当時のように再現されています。306号室で直前まで同じ時間を過ごした仲間も含め、多くの人たちがその瞬間を目撃しました。
暗殺の瞬間を目撃した仲間たちがいた駐車場と、当時停まっていた車の再現
レガシービルディング(発砲現場)
ロレインモーテルの見学が終わって外に出ると、次は向かいの”レガシービルディング(Legacy building)”というレンガ色の建物に入ります。こちらは、キング牧師暗殺犯が潜んでいて発砲した場所です。
暗殺事件に関する詳細な説明が展示されている博物館になっています。
キング牧師暗殺の犯人”ジェームズアーレイ”
犯人はジェームズアーレイという脱獄犯であり、前日の夜からこのホテルに宿泊していました。彼の部屋からは、ロレインモーテルやキング牧師の泊まる306号室の扉がしっかり見えました。
彼の宿泊先からロレイン・モーテルの眺め
4月4日6:01、ロレインモーテル306号室から出てきたキング牧師を、部屋のバスルームの窓から狙い撃ちました。
現在、そのバスルームは再現されて残っています。警察がこの部屋に入った時、この写真のように窓が少しだけ開いていた証拠写真が残っています。
ジェームス・アーレイが泊まっていたホテルのバスルーム
現在はこのバスルームには立ち入ることができませんが、隣の窓からロレイン・モーテルのキング牧師の部屋を眺めることができます。
凶器の発見現場(ミュージアムショップ)
博物館を出ると、隣にミュージアムショップがあります。この建物の入り口に、事件後、キング牧師を撃った銃が隠されていたそうです。
現在のミュージアムショップの出入り口(左)と、当時この建物の入り口に放置されていた銃
観光Tips!
博物館は建物2つ分に渡り、内容も大変充実しています。十分な時間(少なくとも半日程度)を確保して行きたい場所です。
チケットは、当日窓口ですぐに購入できます。特に予約の必要はなさそうです。
公民権運動博物館(ロレイン・モーテル)への行き方
あまり交通の便が良い場所とは言えませんが、メンフィス国際空港から車で15~20分ほどなので、タクシーで移動可能な範囲です。ただし、博物館の近くにタクシーはほぼ停まっていないので、帰りにタクシーを利用する場合は、Amtrakの駅かメンフィスのダウンタウンまで歩いて行くと捕まえられます。
Amtrakの駅が近い(徒歩5分程度)ので、国内移動であれば移動手段としてAmtrakも候補に考えるとよさそうです。
公民権運動博物館周辺の治安
公民権運動博物館周辺は、メンフィスのダウンタウンから少し距離があり、あまり人通りが多くありません。ダウンタウンまで徒歩圏内(徒歩15分程度)ではあるものの、空港間往復の移動はレンタカーも一つの手段として検討するとよさそうです。
レンタカーを借りたい場合は、Veltraの日本語サイトから、メンフィスで借りられるレンタカーの比較ができます。
veltra海外レンタカー比較サイト:メンフィスで借りるレンタカー!<海外レンタカー比較>
メンフィスへの旅行プランを立てる
個人旅行の場合
Step1:航空券を購入する
公民権運動博物館のあるメンフィスまでは、日本からの直行便は運航されていないため、少なくとも1回乗り換えが必要です。航空券検索サイトで、乗り換えも含めたメンフィスまでの航空券の価格や所要時間が検索できます。ホテルも合わせて予約すると、別々で手配するよりかなり割安になることもあります。
– 格安航空券検索サイト:エクスペディア
エクスペディアで航空券を検索する エクスペディアで航空券+ホテルを検索する
Step2:ホテルを予約する
メンフィスには、日本人でも安心して泊まれるホテルがそれなりに揃っています。治安とフライト発着時間を考慮して、ダウンタウンか空港近くのホテルへの宿泊がオススメです。
海外のホテル予約サイトとしては、ホテルズドットコム、ブッキングドットコム、アゴダ、エクスペディアなどが有名です。
ホテルズドットコムでダウンタウンのホテルを予約する アゴダでダウンタウンのホテルを予約する
ホテルズドットコムで空港近辺のホテルを予約する アゴダで空港近辺のホテルを予約する
Step1で航空券とホテルを一緒に予約する場合との、価格比較をしましょう!
日本発着ツアーに参加する場合
公民権運動博物館を訪れる(入場する)日本発着の海外旅行ツアーはあまり開催されていませんが、こちらのツアーに参加すると入場することができます。
クラブツーリズム:【ANAビジネスクラス利用(成田~米国都市間)】2つのリッツカールトンに各2連泊計4泊・アメリカ南部の文化と音楽にふれる旅 9日間<ロイヤル・グランステージ>
公民権運動博物館(ロレイン・モーテル)で見られる歴史
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