歴代大統領の私物から911ビルの残骸まで:国立アメリカ歴史博物館の見どころ、行き方紹介(National Museum of American Hisotry)
オススメ度:★★★★★
アメリカのワシントンDCにあるスミソニアン博物館の中でも、特に人気の博物館のうちの一つです。とにかく貴重な展示が多く、情報が充実しています。交通の便が良く、入館無料なのでざひ行くべき博物館です。
Contents
国立アメリカ歴史博物館の概要
ワシントンDCのナショナルモールにある、スミソニアン博物館の一つです。
アメリカ大統領、戦争、アメリカ文化など、様々な歴史が展示されています。とにかく見どころ満載の博物館で、じっくり見ると1日でも足りません。
国立アメリカ歴史博物館の見どころ
1階から3階まで、各階で東と西の展示エリアに分かれているため、膨大な展示物があります。全部見るのはかなり時間がかかるので、ここでは特にオススメの展示を紹介します。
アメリカ大統領のエリア
大統領のエリア(The American Presidency)の入り口
大統領のエリアでは、歴代大統領の貴重な資料、私物、写真、映像が豊富にそろっています。展示物をいくつか紹介します。
アメリカ大統領の弾劾(弾劾コーナー)
弾劾の発議を受けた大統領に関する、負の歴史も少し展示されています。
ウォーターゲート事件に関する解説はないものの、その事件によってニクソン大統領が弾劾寸前にまで至った経緯や、ウォーターゲート事件の伏線となる盗難事件で壊されたキャビネットなど展示されています。
弾劾のコーナーに展示されているキャビネットとニクソン大統領の弾劾審議の様子
写真左側のキャビネットは、国防総省の元分析官ダニエル・エルスバーグがかかっていた精神科医のものであり、ウォーターゲート事件侵入犯(The Plumbers)が侵入して壊したものです。
ダニエル・エルスバーグは、ベトナム戦争に関する国家の最高機密文書を持ち出してニューヨークタイムズなどにリークした人物であるため、ニクソン政権は彼の不利になる情報を得るために不法侵入したのでした。
この事件については、ウオーターゲート事件を描いた映画『ペンタゴンペーパーズ』でも描かれています。
クリントン大統領の事件も、ここで少し触れられています。将来、トランプ大統領の弾劾についても展示されることでしょう!
アメリカ大統領の暗殺(暗殺コーナー)
歴代大統領の暗殺または暗殺未遂事件に関する展示があります。ケネディ暗殺事件のニュース映像や、レーガン暗殺未遂そのものの映像などが流れています。
リンカーンやケネディ暗殺については、葬儀の様子などの写真、リンカーンが暗殺されたときに身に着けていた帽子も展示されています。
リンカーンが、暗殺された時に身に着けていた帽子
戦争のエリア
戦争のエリア(The Price of Freedom/Americans at War)の入り口
戦争のエリアでは、アメリカの独立戦争から始まり、南北戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦、冷戦、中東との戦いが紹介されています。
第二次世界大戦
もちろん太平洋戦争も含まれており、アメリカが太平洋戦争をどのように見ているのか、垣間見ることができます。
第二次世界大戦のコーナーでは、悪の枢軸と言わんばかりに東条英機のパネルが、ドイツのヒットラー、イタリアのムッソリーニと並んで出迎えます。
東条英機や大日本帝国について書かれたパネル
横では、当時のフランクリン・ルーズベルト大統領が日本との開戦を伝えるスピーチが流れています。ルーズベルトが直前まで手を入れた、そのスピーチの原稿も展示されています。
ルーズベルトが力を込めて強調した”infamy(不名誉)”という単語は、ルーズベルトが直前に書き換えているものだとわかります。
日本との開戦を宣言するフランクリン・ルーズベルト(左)、ルーズベルトの原稿(右)
最後には、原爆投下を命じたトルーマンや昭和天皇に関するパネルなどもあり、アメリカが伝える太平洋戦争を知ることができます。
冷戦
第二次世界大戦が終わると、冷戦のコーナーが始まります。朝鮮戦争、核開発競争、キューバ危機、ベトナム戦争、ベルリンの壁崩壊などが紹介されています。ベトナム戦争以外は、展示スペースは広くないものの、とても充実した内容です。
ベトナム戦争時のヘリコプターや、本物のベルリンの壁の展示がインパクトがあります。
ベトナム戦争のヘリコプター
アメリカ歴史博物館に展示されているベルリンの壁
また、朝鮮戦争のコーナーで流れている10分程度の映像は、朝鮮戦争の概要がとても分かりやすくまとまっていてオススメです。
中東との戦い
湾岸戦争、イラク戦争、9.11同時多発テロとの戦いも、それぞれの展示スペース小さいですが、展示されています。
911同時多発テロで旅客機が追突して崩壊した、ニューヨークのワールドトレードセンタービルの残骸も展示されています。
ニューヨークのワールドトレードセンターのビルの残骸
公民権運動
1950~60年代は、特にアメリカ南部での黒人差別が激しいものでした。 トイレ、水飲み場、学校、バスの座席、レストランの座席など、あらゆるものが白人専用と有色人種用に分かれていました。
1955年、バスの座席差別への抗議として起きたバスボイコット事件をきっかけに、公民権運動が盛んになり、各地で人種差別に苦しむ黒人が立ち上がりました。
Sit in(シットイン)
これは、公民権運動の一つとして有名な”Sit in”が始まったランチカウンターです。
1960年に初めてSit inが行われたランチカウンターと、その当時の写真
”Sit in”とは、白人専用席に黒人らが座り、サービスを受けられるまで座り続けることです。
多くの黒人らが、白人から激しい暴行・屈辱を受けながら、白人専用席に座り続け、人種差別問題と戦いました。
アメリカ歴史博物館には、1960年2月1日、ノースカロライナ州のグリーンボロという町で、4人の黒人男性が初めてSit inを行ったランチカウンターのオリジナルが展示されています。
特別展
2017年-2018年は、”日系アメリカ人強制収容所”に関する特別展示が行われていました。第二次世界大戦中に、日系アメリカ人が強制的に収容所に入れられた過去、後にアメリカがその過ちを認めた経緯などが展示されていました。
日系アメリカ人強制収容の特別展(Righting a Wrong:Japanese Americans and World War II)の入り口
カフェテリア
地下1階には、カフェテリアがあります。いくつかのお店がまとめて入っているので、そこから好きなものをとってレジに並びます。博物館のカフェテリアとしては、なかなかおいしいです。
観光Tips!
入場は無料ですが、セキュリティチェックがあるため、土日は特に行列ができています。長蛇の列でも、数十分で入れますので、並んでも入るべき博物館です。
全部見ようと、それぞれの展示をサラッと見てしまうと、ふーんで終わってしまいます。
見たい展示をいくつかに絞って、じっくり見ると、思いがけない貴重な展示をたくさん見つけることができます。
国立アメリカ歴史博物館の観光基本情報
営業時間: | 10:00am – 5:30pm |
定休日: | 12/25 |
入場料: | 無料 |
所要時間: | 半日程度 |
住所: | Constitution Avenue, NW, Between 12th and 14th Streets, Washington, DC 20560 |
公式HP: | アメリカ歴史博物館(National Museum of American History) |
(2018/12現在)
国立アメリカ歴史博物館への行き方
この国立アメリカ歴史博物館があるナショナル・モールには、たくさんのスミソニアン博物館やメモリアルが並んでいるので、モール内の他の博物館やモニュメントと合わせて効率よく回ることができます。
交通の便もよいところで、いろんなルートで行くことができます。
サーキュレーター
サーキュレーター(Circulator)とは、一律$1で乗れるワシントンDC内の循環バスです。サーキュレーターのナショナル・モールルート(レッドライン)は、ナショナル・モールを1周しており、各観光スポット付近が停留所になっているので観光客に大変便利です。
ナショナル・モールルートの”停留所4″で降りると、この国立アメリカ歴史博物館のすぐ前に行くことができます。
Circulator公式HP:Circulator
乗り方等の詳細は、こちらで紹介しています。
メトロ地下鉄
地下鉄で行くにも、便利な場所です。メトロ地下鉄のブルーライン、シルバーライン、オレンジラインの3本が通っているスミソニアン駅(Smithsonian Station)またはフェデラルトライアングル(Federal Triangle)で下車します。
合わせて回りたい観光地(ワシントンDC近郊)
国立公文書館(National Archives)(徒歩9分)
国立航空宇宙博物館(National Air and Space Museum)(徒歩14分)
ニュージアム(Newseum)(徒歩14分)
第二次世界大戦記念碑(World War II Memorial)(徒歩11分)
ロナルド・レーガンビル(Ronald Reagan Building)(徒歩3分):ベルリンの壁を展示
その他ナショナルモール内の観光地
サーキュレーター(Circulator)のレッドラインに乗って回ると最適です。
その他ワシントンDC近郊の観光地
国立アメリカ歴史博物館で見られる歴史
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