月の石からゼロ戦まで:国立航空宇宙博物館の見どころ、行き方紹介(National Air and Space Museum)
オススメ度:★★★★★
宇宙開発競争等により製造された、たくさんの宇宙船やミサイルだけでなく、ライト兄弟の作った人類初飛行機”ライトフライヤー”から日本の”零戦”まで、とても幅広い展示があります。展示の幅の広さに加え歴史的に貴重な物が多いため、飛行機好きでなくとも楽しめる博物館です。
Contents
国立航空宇宙博物館の概要
スミソニアン博物館の一つです。ワシントンDCダウンタウンのナショナルモールにあり、ワシントンDCの国際線の空港であるダレス国際空港からすぐの航空宇宙博物館(別館)とは、場所も展示内容も全く異なります。
2019年から7年計画の大規模リノベーションが行われています。その間も博物館は開館し、人気の展示物やIMAXシアターを見学したり、ミュージアムショップやカフェを利用することはできますが、一部の展示物は一時的に非公開になります。
ご訪問の際は目当ての展示物が公開中かどうか、公式サイトでご確認をお願します。
国立航空宇宙博物館の見どころ
人類初の飛行機、人類初の月面着陸の宇宙船、宇宙服等々、貴重な展示がたくさんあります。また、IMAXシアター(有料)での上映映像も豊富です。
いくつか見どころを紹介します。
ライト兄弟の飛行機(Wright Flyer)
1903年にライト兄弟(ウィルバー・ライトとオーヴィル・ライト)が発明した、世界初の飛行機が展示されています。
ライト兄弟の飛行機
1903年12月17日、オーヴィル・ライトが世界で初めて、空気よりも重たい機体の飛行を成功させました。記録は12秒、36メートル。同日4度目の挑戦では、ウィルバー・ライトが最長の59秒255.6メートルを記録しました。
ライト兄弟がこの飛行機を発明した少し前の1890年代、アメリカは空前の自転車ブームであり、ライト兄弟は1892年から自転車屋さんとして自転車の修理・開発などをしていました。ライト兄弟はその自転車開発の技術を生かして、1989年から飛行機の発明に乗り出しました。そして4年の歳月をかけて試行錯誤を繰り返し、1903年ついに初飛行を成功させました。
最初はたったの12秒でしたが、この人類初の飛行が、その後の現在に至る飛行機の突破口になり、世界が大きく変わっていくこととなります。
宇宙開発レース
米国とソ連の冷戦真っ只中、両国はあらゆる分野で対立しており、宇宙開発競争(Space Race)もそのうちの一つでした。航空宇宙博物館(本館)には”Space Race”のコーナーがあり、その頃の貴重な展示物がたくさんあります。
フレンドシップセブン(Friendship 7)
アメリカで初めて、地球周遊をした宇宙船です。
フレンドシップセブン
1950年代後半から60年代前半、アメリカは宇宙開発の分野でソ連に後れを取り、人類宇宙飛行プログラム”マーキュリー計画”に力を入れていました。そんな中、1961年、ソ連はユーリ・ガガーリンを乗せて人類初の宇宙飛行を成し遂げました。アメリカはソ連より10か月遅れの1962年2月、ジョン・グレンが人類地球周遊を達成しました。その時の宇宙船です。
国を挙げて宇宙開発に力を入れていた当時ケネディ大統領が、査察に来てこの宇宙船を覗き込んでいる写真は、米国の博物館等でよく見かけます。
フレンドシップセブンをのぞき込むケネディ大統領の写真(JFK Library公式サイトより)
アメリカとソ連の宇宙開発競争の詳細については、こちらの記事で紹介しています。
アポロ‐ソユーズテストプロジェクト(ASTP)
1975年7月、アメリカのアポロ宇宙船とソ連のソユーズ宇宙船が宇宙でドッキングするという歴史的瞬間が訪れました。それまで互いに競争して、同じ技術に対して別々に切磋琢磨してきた2か国が手を取り合った瞬間です。
そのアポロ‐ソユーズテストプロジェクト(ASTP)を再現した、2つのドッキングされた宇宙船が展示されています。
アポロ‐ソユーズテストプロジェクト
アポロ計画
アメリカが1960年代から70年代にかけて、国を挙げて取り組んだ月開発のための”アポロ計画”のコーナーにも、たくさんの貴重な展示品が揃っています。
アームストロング船長の宇宙服
1969年、人類初の月面着陸を成し遂げたアポロ11号のアームストロング船長が、当時着ていた宇宙服が展示されています。
アームストロング船長の宇宙服(左)と、その服を着て月面着陸した当時の写真(右)
アポロ11号のコマンドモジュール”コロンビア(Columbia)”
アポロ11号のコマンドモジュール”コロンビア”
1969年7月に人類初の月面着陸を果たしたアポロ11号の、3人の乗組員の居住空間となった部分です。
アポロ11号の宇宙船は、大きく3つのパーツから構成されており、コマンドモジュール”コロンビア”はそのうちの1パーツです。このコマンドモジュール以外には、サービスモジュールとルナモジュールがあり、サービスモジュールは燃料として消耗され、ルナモジュールは2人の乗組員が月面着陸するために切り離して使われた部分です。そのため、3つのパーツのうち、地球に帰還したのはこのコマンドモジュールのみとなります。
※2019年9月現在、この展示は非公開になっています。
アメリカのアポロ計画の歴史については、こちらの記事で紹介しています。
月の石
1969年7月20日、アポロ11号は人類初の月面着陸を成功させました。そのとき、21キログラムの月の石を持ち帰ってきており、そのうちのほんの一部がここに展示されています。誰でも触ることができます。
アポロ11号が持ち帰った月の石
触られすぎて、もはや本当の月の石の感触かは謎ですが、とてもつるつるしてます。
零戦
第二次世界大戦中、これに勝る戦闘機はないと言われている、日本の”零戦(Mitsubishi A6M Reisen)”が展示されています。
Mitsubishi A6M5 Zero Model 52
この展示されている零戦は、1944年4月にサイパン諸島で捕らえられた日本の航空隊の一つと考えられています。米海軍がその中から12機の零戦を検証のために米国本土に送り、1944年にオハイオ州で、その翌年にはフロリダ州で検証された機体だという記録が残っているそうです。
アメリカは太平洋戦争をどう見ているのか、アメリカ国内の博物館等を巡ってみてきた太平洋戦争の歴史をこちらの記事にまとめています。
観光Tips!
2019年から7年間に渡る大規模リノベーションが行われています。目当ての展示物がある場合は、その展示物か公開されているかどうか、事前に確認をしていきましょう。
国立航空宇宙博物館の観光基本情報
営業時間: | 10:00am – 5:30pm |
定休日: | 12/25 |
入場料: | 無料 |
所要時間: | 2~3時間程度 |
住所: | Independence Ave at 6th Street, SW, Washington, DC 20560 |
公式HP: | 国立航空宇宙博物館(National Air and Space Museum) |
国立航空宇宙博物館(本館)への行き方
この国立航空宇宙博物館(本館)があるナショナル・モールには、たくさんのスミソニアン博物館やメモリアルが並んでいるので、モール内の他の博物館やモニュメントと合わせて効率よく回ることができます。
交通の便もよいところで、いろんなルートで行くことができます。
サーキュレーター
サーキュレーター(Circulator)とは、一律$1で乗れるワシントンDC内の循環バスです。サーキュレーターのナショナル・モールルート(レッドライン)は、ナショナル・モールを1周しており、各観光スポット付近が停留所になっているので観光客に大変便利です。
ナショナル・モールルートの”停留所14″で降りると、この国立航空宇宙博物館のすぐ前に行くことができます。
Circulator公式HP:Circulator
乗り方等の詳細は、こちらで紹介しています。
メトロ地下鉄(Metrolink)
最寄り駅:ランファン・プラザ駅(L’Enfant Plaza Metro Station)
メトロ地下鉄のブルーライン、シルバーライン、オレンジライン、グリーンライン、イエローラインの5本が通っています。
-ユニオン駅(Union Station)から、13分程度
-ロナルド・レーガン・ワシントンナショナル空港駅(Ronald Reagan Washington National Airport Station)から、メトロ地下鉄イエローラインで11分
ランファン・プラザ駅から国立航空宇宙博物館までは、徒歩4分程度かかります。
ワシントンDCへの旅行情報(ホテル・航空券)
ワシントンDC観光をする際の、旅行情報をこちらの記事にまとめました。治安情報や、オススメのホテル宿泊エリアの紹介などをしています。
航空宇宙博物館(本館)で見られる歴史
合わせて回りたい観光地(ワシントンDC近郊)
https://yadakotour.work/site/dcsite/airspace/https://i0.wp.com/yadakotour.work/wp-content/uploads/2019/09/DSC_6205_.jpg?fit=900%2C506&ssl=1https://i0.wp.com/yadakotour.work/wp-content/uploads/2019/09/DSC_6205_.jpg?resize=150%2C150&ssl=1ワシントンD.C.観光地オススメ度:★★★★★ 宇宙開発競争等により製造された、たくさんの宇宙船やミサイルだけでなく、ライト兄弟の作った人類初飛行機”ライトフライヤー”から日本の”零戦”まで、とても幅広い展示があります。展示の幅の広さに加え歴史的に貴重な物が多いため、飛行機好きでなくとも楽しめる博物館です。 国立航空宇宙博物館の概要 スミソニアン博物館の一つです。ワシントンDCダウンタウンのナショナルモールにあり、ワシントンDCの国際線の空港であるダレス国際空港からすぐの航空宇宙博物館(別館)とは、場所も展示内容も全く異なります。 2019年から7年計画の大規模リノベーションが行われています。その間も博物館は開館し、人気の展示物やIMAXシアターを見学したり、ミュージアムショップやカフェを利用することはできますが、一部の展示物は一時的に非公開になります。 ご訪問の際は目当ての展示物が公開中かどうか、公式サイトでご確認をお願します。 国立航空宇宙博物館の見どころ 人類初の飛行機、人類初の月面着陸の宇宙船、宇宙服等々、貴重な展示がたくさんあります。また、IMAXシアター(有料)での上映映像も豊富です。 いくつか見どころを紹介します。 ライト兄弟の飛行機(Wright Flyer) 1903年にライト兄弟(ウィルバー・ライトとオーヴィル・ライト)が発明した、世界初の飛行機が展示されています。 ライト兄弟の飛行機 1903年12月17日、オーヴィル・ライトが世界で初めて、空気よりも重たい機体の飛行を成功させました。記録は12秒、36メートル。同日4度目の挑戦では、ウィルバー・ライトが最長の59秒255.6メートルを記録しました。 ライト兄弟がこの飛行機を発明した少し前の1890年代、アメリカは空前の自転車ブームであり、ライト兄弟は1892年から自転車屋さんとして自転車の修理・開発などをしていました。ライト兄弟はその自転車開発の技術を生かして、1989年から飛行機の発明に乗り出しました。そして4年の歳月をかけて試行錯誤を繰り返し、1903年ついに初飛行を成功させました。 最初はたったの12秒でしたが、この人類初の飛行が、その後の現在に至る飛行機の突破口になり、世界が大きく変わっていくこととなります。 宇宙開発レース 米国とソ連の冷戦真っ只中、両国はあらゆる分野で対立しており、宇宙開発競争(Space Race)もそのうちの一つでした。航空宇宙博物館(本館)には”Space Race”のコーナーがあり、その頃の貴重な展示物がたくさんあります。 フレンドシップセブン(Friendship 7) アメリカで初めて、地球周遊をした宇宙船です。 フレンドシップセブン 1950年代後半から60年代前半、アメリカは宇宙開発の分野でソ連に後れを取り、人類宇宙飛行プログラム”マーキュリー計画”に力を入れていました。そんな中、1961年、ソ連はユーリ・ガガーリンを乗せて人類初の宇宙飛行を成し遂げました。アメリカはソ連より10か月遅れの1962年2月、ジョン・グレンが人類地球周遊を達成しました。その時の宇宙船です。 国を挙げて宇宙開発に力を入れていた当時ケネディ大統領が、査察に来てこの宇宙船を覗き込んでいる写真は、米国の博物館等でよく見かけます。 フレンドシップセブンをのぞき込むケネディ大統領の写真(JFK Library公式サイトより) アメリカとソ連の宇宙開発競争の詳細については、こちらの記事で紹介しています。 アポロ‐ソユーズテストプロジェクト(ASTP) 1975年7月、アメリカのアポロ宇宙船とソ連のソユーズ宇宙船が宇宙でドッキングするという歴史的瞬間が訪れました。それまで互いに競争して、同じ技術に対して別々に切磋琢磨してきた2か国が手を取り合った瞬間です。 そのアポロ‐ソユーズテストプロジェクト(ASTP)を再現した、2つのドッキングされた宇宙船が展示されています。 アポロ‐ソユーズテストプロジェクト アポロ計画 アメリカが1960年代から70年代にかけて、国を挙げて取り組んだ月開発のための”アポロ計画”のコーナーにも、たくさんの貴重な展示品が揃っています。 アームストロング船長の宇宙服 1969年、人類初の月面着陸を成し遂げたアポロ11号のアームストロング船長が、当時着ていた宇宙服が展示されています。 アームストロング船長の宇宙服(左)と、その服を着て月面着陸した当時の写真(右) アポロ11号のコマンドモジュール”コロンビア(Columbia)” アポロ11号のコマンドモジュール”コロンビア” 1969年7月に人類初の月面着陸を果たしたアポロ11号の、3人の乗組員の居住空間となった部分です。 アポロ11号の宇宙船は、大きく3つのパーツから構成されており、コマンドモジュール”コロンビア”はそのうちの1パーツです。このコマンドモジュール以外には、サービスモジュールとルナモジュールがあり、サービスモジュールは燃料として消耗され、ルナモジュールは2人の乗組員が月面着陸するために切り離して使われた部分です。そのため、3つのパーツのうち、地球に帰還したのはこのコマンドモジュールのみとなります。 ※2019年9月現在、この展示は非公開になっています。 アメリカのアポロ計画の歴史については、こちらの記事で紹介しています。 月の石 1969年7月20日、アポロ11号は人類初の月面着陸を成功させました。そのとき、21キログラムの月の石を持ち帰ってきており、そのうちのほんの一部がここに展示されています。誰でも触ることができます。 アポロ11号が持ち帰った月の石 触られすぎて、もはや本当の月の石の感触かは謎ですが、とてもつるつるしてます。 零戦 第二次世界大戦中、これに勝る戦闘機はないと言われている、日本の”零戦(Mitsubishi A6M Reisen)”が展示されています。 Mitsubishi A6M5 Zero Model 52 この展示されている零戦は、1944年4月にサイパン諸島で捕らえられた日本の航空隊の一つと考えられています。米海軍がその中から12機の零戦を検証のために米国本土に送り、1944年にオハイオ州で、その翌年にはフロリダ州で検証された機体だという記録が残っているそうです。 アメリカは太平洋戦争をどう見ているのか、アメリカ国内の博物館等を巡ってみてきた太平洋戦争の歴史をこちらの記事にまとめています。 観光Tips! 2019年から7年間に渡る大規模リノベーションが行われています。目当ての展示物がある場合は、その展示物か公開されているかどうか、事前に確認をしていきましょう。 国立航空宇宙博物館の観光基本情報 国立航空宇宙博物館の基本情報 営業時間: 10:00am - 5:30pm 定休日: 12/25 入場料: 無料 所要時間: 2~3時間程度 住所: Independence Ave at 6th Street, SW, Washington, DC 20560 公式HP: 国立航空宇宙博物館(National Air and Space Museum) 国立航空宇宙博物館(本館)への行き方 この国立航空宇宙博物館(本館)があるナショナル・モールには、たくさんのスミソニアン博物館やメモリアルが並んでいるので、モール内の他の博物館やモニュメントと合わせて効率よく回ることができます。 交通の便もよいところで、いろんなルートで行くことができます。 サーキュレーター サーキュレーター(Circulator)とは、一律$1で乗れるワシントンDC内の循環バスです。サーキュレーターのナショナル・モールルート(レッドライン)は、ナショナル・モールを1周しており、各観光スポット付近が停留所になっているので観光客に大変便利です。 ナショナル・モールルートの'停留所14'で降りると、この国立航空宇宙博物館のすぐ前に行くことができます。 Circulator公式HP:Circulator 乗り方等の詳細は、こちらで紹介しています。 メトロ地下鉄(Metrolink) 最寄り駅:ランファン・プラザ駅(L'Enfant Plaza Metro Station) メトロ地下鉄のブルーライン、シルバーライン、オレンジライン、グリーンライン、イエローラインの5本が通っています。 -ユニオン駅(Union Station)から、13分程度 -ロナルド・レーガン・ワシントンナショナル空港駅(Ronald Reagan Washington National Airport Station)から、メトロ地下鉄イエローラインで11分 ランファン・プラザ駅から国立航空宇宙博物館までは、徒歩4分程度かかります。 DC Metro 公式HP:DC Metro、路線図 ワシントンDCへの旅行情報(ホテル・航空券) ワシントンDC観光をする際の、旅行情報をこちらの記事にまとめました。治安情報や、オススメのホテル宿泊エリアの紹介などをしています。 航空宇宙博物館(本館)で見られる歴史 合わせて回りたい観光地(ワシントンDC近郊)やだこ 55yam.adako@gmail.comAdministratorやだ旅
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